【特集】洒落者がフランコミヌッチのネクタイを選ぶのはなぜか

イギリス一の洒落者として、スーツの歴史書に必ず出てくる男がいます。かの有名な、ボー・ブランメルですね。しかし洒落者というものを語る時に、昔存在した歴史人物のことを語ってばかりでは面白くない。そこで今生きている中で一番の洒落者を挙げてみようということになれば、少なくともイタリアではある男の名前で意見が一致するでしょう。

フランコ・ミヌッチです。

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言わずと知れたフィレンツェ発の名セレクトショップ、TIE YOUR TIE タイユアタイの創始者、そしてディレクターです。彼はシンプルなアイテムばかりを用いながらも、その絶妙なバランス感覚で洒落っ気を出す名人です。

イタリア最大のメンズファッションの祭典であるピッティ・ウォモの羅針盤だ、なんていうのは誰が言い出したのか、謳い文句なのか分かりませんが、いずれにしろ彼の着こなしや、彼のコレクションがイタリアのトレンドに大きな影響を与えているのは確かです。

彼は基本的にTIE YOUR TIE タイユアタイのディレクターなので、彼の感覚をファッションに取り入れようと思ったら、TIE YOUR TIE 青山やTIE YOUR TIE 大阪などに行くのが早いでしょう。しかし唯一、彼の名前が入った(ブランド名)になったアイテムで、全国のセレクトショップで手に入れることのできる素晴らしいアイテムがある。ネクタイです。

前置きが長くなりましたが、今回はフランコミヌッチのネクタイの特集です。

フランコミヌッチのネクタイの特徴

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フランコミヌッチのネクタイは、タイユアタイのそれとは異なりセッテピエゲではなく普通の芯地入りをメインとしています。そういうこともあって、普通のネクタイにしては高く、セッテピエゲでもないため中途半端な位置づけといえばそうなのですが、それでも絶大な支持を受けているのがフランコミヌッチのネクタイです。

なぜ支持を受けているのかを理解するためにも、フランコミヌッチのネクタイの特徴を見ていきましょう。

表情豊かな生地感

ネクタイというシンプルなアイテムを決めるのは、生地です。シルクが主とはいえ、シルクにもいろいろな風合い、色柄、発色、手触りがある。それに加えて麻混やウール混など、ネクタイに用いられる生地には非常に多くの種類がありますね。

その中でどんな生地を選ぶか、どんな柄をモチーフにするかがネクタイブランドのセンスの見せ所なわけです。その点フランコミヌッチは、シンプルなサテン調の生地を用いることは少なく、ジャガード織や複雑な立体感を持った生地、それから麻やウールなど素材の持ち味を生かした生地を用いる。

つまり、表情豊かな生地を得意としているというわけです。

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例えばこちらは麻混の生地を使ったネクタイ。杢目の入り、所々にネップの見られるこの生地はざらっとした手触りで、いかにも涼しげです。それを、春夏のジャケットスタイルに丁度アクセントになりそうな色合いでまとめている。

Vゾーンに華やかさと、それから軽さ、涼しさをもたらしてくれるネクタイですね。

逆にウール100%のネクタイも彼の得意とするところです。

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まるでスカーフのようにふわりと柔らかく作られており、ウールの素材感からもまるきりネクタイであることを感じさせませんが、そのリラックス感が秋冬のカジュアルにぴったりとハマる。

秋冬のフランネルやサキソニー、ツイードといったジャケットの生地感に、なんとなくネクタイが合わせづらいなあと感じている人は多いでしょう。

シルクのネクタイはそれだけが浮いてしまって、逆に厚手のツイードのネクタイはしているだけで息がつまりそうだし、ボリュームがで過ぎてしまう。そこで、こういった薄手の起毛ウールのネクタイです。

特にフランコミヌッチのネクタイは軽快感があるので、自然に気取らず秋冬のジャケパンに合わせることができますね。

イタリア的な長さ

フランコミヌッチのネクタイは、日本の標準的なネクタイに比べて長さがあります。これはフランコミヌッチ氏の特有の着こなしである、小剣を思い切り長くして垂らす着こなしに由来するものでしょう。

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もちろんそういった着こなしに挑戦してみるのもいいし、あるいは複雑な結び方で長さを要する変わり種のノットを作るのもこの長さならお手の物です。

ネクタイの作りの良し悪しについては別のページで考えるとしても、フランコミヌッチのネクタイは非常にバランスよく丁寧に作られているため、ノットが複雑になっても綺麗に収まる。もちろん繊細さもありますので、出来るだけ引っ張らないなどの注意は必須です。

難点としては、ジレを着用したときにはその長さがあだとなり、下からネクタイがのぞいてしまわないように苦労しますね。

その値段の価値はあるか?

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さて、最後に考えたいのはその値段についてです。フランコミヌッチのネクタイはおよそ、19000円〜22000円ほどとなっています。セッテピエゲのものはもう少し高くなりますが、芯地入りの普段セレクトショップで見かけるようなものはおよそこの値段です。

マタビシやフィオリオのネクタイが13000円ほど、フランコバッシのネクタイが16000円ほどという値段で売られている中、少し高いですよね。20000円も出せば、フランチェスコ マリーノといったハンドメイド感あふれる名物ネクタイも手に入ります。

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この値段の差が、本当に品質の差になって現れているのか。まあ、どうでしょう。正直なところなんとも言えません。それもこれもネクタイの品質はシルクの品質に大きく左右されますし、あとはある程度以上のランクになったら「好みの色柄やデザイン」にこそお金を払うべきだからです。

もちろん5000円のネクタイと、20000円のネクタイでは使っているシルクのグレードも、作りの良さも、あらゆるものが違い、それは外見の高級感の大きな差となって現れます。しかし15000円のネクタイと23000円のネクタイは、それほど差が無くなってくる。

つまりそういうときに、「憧れのブランド・使いにくい柄・23000円のネクタイ」を買うよりは、「中堅ブランド・好きな柄・13000円のネクタイ」を買った方が、お洒落にはつながりやすいわけですね。

結局良いネクタイを買っても、柄や色が気に入らないものは使わないので、損してしまうことになる。

また、先ほど少し書いたように、ネクタイの質はシルクの質に大きく左右されます。そのため、国産の1万円以下のネクタイでもときどき、価格からはまったく想像できないほど素晴らしいネクタイがあったりする。メーカーの方が、偶然質の良い生地を安く手に入れることができたのか、高級な生地にあまりが出たから使ったのか、いずれにしろそういうことが起きるのがネクタイです。

フランコミヌッチのネクタイの作りの良さ、適度なリラックス感、それに生地の多様さはイタリアのネクタイブランドの中でも屈指のものですから、おすすめです。しかし最終的には自分の目で判断して、自分の好きなネクタイを買いましょう。