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BMW 6シリーズ 640iレビュー

足りていないものは見つかった?

早朝にBMWの鍵をポケットに沈ませドアを出る。
男は目的もなくハンドルを握り
白く薄いモヤに包まれている街を抜け、海岸を駆ける。

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BMW6の存在意義

何故クーペなのか?
日本を走る車は4ドア。それもセダンだけでなくミニバンや軽自動車が中心。
4ドアにできて、2ドアにできることはないけれど、その逆はある。
誰も必要の無いはずのクーペに乗る理由はなにか。

それは美しさと、車に特別な何かを求めているから。
本来であれば後部座席の快適性やラゲッジスペースの容量などを考えられて余分な空間が増えてしまうのを、美しいデザイン性を最優先して作られた6シリーズは工業製品としてだけでなく芸術的な美しさを併せ持つ。

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それと6のオーナー・ドライバーがこの車に特別な何かを求めているから。
人によって異なるが、うんざりする程に飽き飽きする日常を破壊して欲しくて6に乗る人も居れば
心に空いた隙間を埋めるために6に乗る人も居る。
移動の短い時間を極上の空間を演出して欲しくて乗る人も居る。

少なくとも、”とても便利”な日本製の高級セダンでは不足で、限りなく6シリーズに似ているBMWの5シリーズであっても足りない訳だ。
でなければ、どのシートに座っても便利で快適な5シリーズか7シリーズを選ぶ。
7シリーズであれば荷物も多く乗り、ドライバーズシートが不快ということもない。

6シリーズを選ぶ人間は美しさか、特別な何かを求めているのである。

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BMW 6の室内空間

室内はとても広く快適、と言いたい所だけどそうではない。
どちらかというと狭いし、どちらかというと窮屈だ。
およそ日本車の方が広いし、5シリーズの方が快適だ。

ただ、室内まで美しく、シンプルに飾られたインテリアに包み込まれる感覚だけは特別なもの。
先代のE63とはガラッとデザインは変わったものの、車に包み込まれる感じは踏襲されている。
言うならば、とても悪者になった気分になれる。
こんな室内空間に1000万円出したいと思うならば、つまらない日常や常識をぶっ壊したいという潜在的な衝動が隠れているに違いない。

有難い事に、それでも常識を多少取り入れたのかドリンクホルダーが2つ付属する。
先代のドリンクホルダーが非搭載というのは、まるでフェ◯ーリやマセ◯ティに対抗するかの如く、「ドライバーは運転だけに集中しろ」もしくは「美しいインテリアにドリンク穴は不要」といった意味が込められていた。

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(あなたが犬か猫であれば)足を伸ばしてゆっくりと快適に過ごせる広い後部座席。
もしかしたら犬でさえ窮屈に感じるかもしれない。
とても小柄な小学生の低学年であっても窮屈でシートを蹴る事に違いない。
これを開き直って2ドア4シーターで売っているあたりが最高に良い。
ドライバー独り、もしくは二人のため存在する車と言える。

助手席側のシートは一番後ろまで下げれば、足元はかなり広く身長が180cm以上であっても足を伸ばしてくつろげる。
センターコンソールボックスの収納は3シリーズと比べると2倍はあるんじゃないかと思える程に広く、ワインボトルが2本は入りそうなほど。

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細かな部分までため息がでるほど美しいデザイン。
余計なラインがなく、現行の3シリーズのような芋っぽいインパネさえも感じない。
天然無垢の突板仕上げは曲線に合わせて丁寧に貼り付けられている。
バーズアイが多く入っているところからすると高級な部分を贅沢に使われている。

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斜めに寝たフロントガラスはスーパーカーのような雰囲気も持ち、サンルーフは広く開口している。
唯一残念なのが、天井の採光を広くしすぎたせいかルーフ全面は開かずに少し上がるだけ。
風を肌で感じて気持ちよく走りたいのならカブリオレを買うしかない。

BMW640iグランクーペ&カブリオレ記事
https://otonaninareru.net/bmw_640i/

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BMW6の外見特徴

大人になれないな、と思う。
大人になれる本を書く理由に自分が大人になりたいのだと心理がある。

子供の時にプレイステーションのゲーム、グランツーリスモ1をやっていた時と同じときめきを感じる。
BMWの6シリーズは何て美しくかっこ良いんだ!
曲線や造形について難しく言うことはできるけれど、シンプルにそうだと感じる。

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スーパーカーを日常使いのクーペにデザインしな直したら…そんな理想的なデザイン。
6シリーズ以外にもそんな車がある、ジャガーやアストンマーチン、マセラティ、メルセデス・ベンツのSLSも似たようなニュアンスを併せ持つ。
大人な車ってなんだろう?みんな大人になれないのだと思う。

 

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ジャガーのFタイプほどではないが、リアの眺めもなかなか悪いオーラが出ている。
きっとブラックの塗装を選べばより悪い感じになる。

走行性能とドライビングフィール

予想はしていたけれど、まあクルーザーのそれだ。
1.8トンのボディを320馬力のN55系エンジンで押し出す。

実はこの640iを購入する前に、335iの前期に乗っていたのでフィーリングが似ている640iを選んだ事情がある。
650iのV8にすれば加速はより速いけれどエンジンのフィーリングは異なる。

と思っていたのだが、直列6気筒のエンジンでもN54とN55は異なり、さらには6シリーズ向けにチューニングしてあるせいか非常に大人しく仕上げられている。
スポーツモードを選んでも、まろやかに加速して蹴り上げられる感覚は薄い。

どちらかというと、アウディのA5のようなマイルドな加速に似ている。
335iの蹴り上げられる、血の気が多い加速感は3シリーズ特有の物らしい。

0-100kmの加速は5.1秒ということで、335iより速いにも関わらず体感的な速度ではコンパクトな335iの方が速く感じるのが不思議なところ。

8速ATミッションは昔のもたつき感はなく、DCTさながらの早さで変わる。
以前まであったミッションへの不満は払拭されたと言える。

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運動性能についてはコーナリングやブレーキングなども、やはり車重を感じさせる。

車体がよれる訳ではないが、自由自在に曲げようとすると、よっこらしょっと言うような気分で曲げないとならない。

世間では4シリーズやM3、M4が好まれる事情がやっとこさ理解できた。
日本の道路事情からしてあのサイズの方が使いやすく速いのだ。

BMW Mドライビング・エクスペリエンス 

以前、富士スピードウェイでMエクスペリエンスに参加して、M135,M4,M6,M6カブリオレなど
様々なMモデルに試乗+全力走行したのだが、やはりM6は格別だ。
重さを感じさせない加速や、ブレーキング時にもM4に一切劣ることのない旋回性を見せる。

もし640iや650iである程度のスピードで気持ちよく曲がりたいのであれば、足回りの改善をすると走りやすくなる。
純正オプションでも良いので、ホイールを軽量な物にしてMスポーツのサスペンション、タイヤをミシュランのパイロットスーパースポーツにすれば今よりは軽快になる。

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日常使いとしての6

日常使いとしてこのサイズのクーペは本来は向いていない。
ところがBMWの提唱するエフィシエントダイナミクスとやらで環境性能とドライビング・ダイナミクスが両立し得るらしい。
分かりやすく言うと、車重が1.8トンもあり、3リッターターボ、トルク46キロにも関わらず街中での燃費がリッター10kmに近いということ。
これだけ大きな車体でもかなり良好な燃費が出るというのは驚くべき進化と言える。

一世代前のE63やメルセデスの先代のCLSは、当たり前のようにリッター当たり5キロを切るような燃費であったので、その時代を乗っていたオーナーからすれば脅威な燃費。

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あまりに退屈な日常をぶっ壊したい衝動があるなら、すぐに印鑑を持ってBMWディーラーに駆け込むのが得策だ。
人生は一度しかない、何を言われれようと好き勝手生きたっていい。

スペック

エンジン型式 N55B30A 最高出力 320ps(235kW)/5800rpm
最大トルク 45.9kg・m(450N・m)/1300~4500rpm
エンジン種類 直列6気筒DOHCターボ 総排気量 2979cc
圧縮比 10.2  過給機 ターボ
燃料タンク容量 70リットル 使用燃料 無鉛プレミアムガソリン
環境仕様 10モード/10・15モード燃費 10km/リットル

640i クーペ ¥10,230,000(税込み)
650i クーペ ¥13,170,000(税込み)

http://www.bmw.co.jp/

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