アンティーク マイセンのプレート

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絵画をじっくりと見る機会はありますか?
鑑賞が趣味であれば毎週のように見る人もいるかもしれませんが、多くの人はなかなか見る機会がないと思います。

偉大な画家は多くいますが、それは遠く離れた美術館や画集の中の存在であったりします。ただし、マイセンは別です。
油絵の絵画を買うよりは遥かに手頃な価格で、一万円程度から原画を手に入れる事ができ、お菓子やデザート、料理を載せたりして毎日眺めながら楽しむ事ができます。
これは本当に素晴らしい事だと思います、絵画というのは例え自分の部屋に飾ってあっても、意識して注目しない限り見る機会は少ないのです。

今回手に入れたのはドイツのザクセン州ドレスデン地方にある名門窯マイセン。
17世紀に日本や中国など、東洋趣味(シノワズリ)が流行して、多くの食器がヨーロッパに輸入されましたが、同時に外貨の銀も大量にアジアへ流出してしまいました。そこでザクセン選帝侯であるアウグスト2世がベトガーを謂わば監禁して白磁の開発をさせたという話は有名です。
ただし今回紹介するプレートに描かれたような繊細な図柄は、それよりも後年に画家であるヨハン・グレゴール・ヘロルトをペインターとして呼び入れてからとなります。マイセンの歴史はとても興味深く、多くの書籍やテレビ特集などもされているので、興味があれば調べてみて下さい。

さて、このプレートですが縁に一周ローズがふんだんに描かれています。
伸びた枝や蔦は金彩で描かれ、花は何色も使って濃淡と共に絵付けされています。
細かく見ると、全ての花の縁が取られていることが分かるはずです。
ヘレンド ウィーンの薔薇を始めとした現代の人気の絵柄にも、手書きの薔薇が描かれている事が多いですが、これらの多くは縁が取られていません。
実は縁を取って中を濃淡で表現するのは高い技術力を要求されて、ひとつの作品を作るのにも多くの時間を費やす事になります。それを一周と中央を描く訳ですから、どれだけの労力か想像できるはずです。

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さて、モチーフの薔薇ですが、ギリシャ神話では愛と美の女神ヴィーナスの花であり、中世のキリストでは聖母マリアに捧げられていたと言われます。
本作品にもそうした面もあるかもしれませんが、個人的な意見ではマイセンはイギリス(特にウェッジウッド)と比べると宗教色は薄いと思っています。
マイセンは植物や実在する動物、人物をテーマ(モチーフ)にする事が多く、ウェッジウッドのようなローマ美術やギリシャ美術、新古典主義などによる作品への影響が少ないです。グリフィンなどの有翼獣や月桂樹が出てこないことからもそう思いました。

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話を絵付けに戻し、中央の細工に目を向けますと、いかに緻密なタッチであるか分かるはずです。現代のマイセンに技術力が無いとは言いませんが、当時のマイセンの技術力の高さがにじみ出ます。
資料に載っていないため厳密には分かりませんが、このプレートの製造時期はおよそ1900~1920年前後と想定できます。いまから約100年かもう少し古い作品です。

この時代のマイセンの絵付けは、とにかく繊細な線が多く、細筆でシャープペンよりも細い線を描写しています。ここまで狭い空間にも関わらず濃度によって色を溶かしてあるのが感動的です。少し離れて見るとそれは絵画としか言いようのない仕上がりです。

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写真のように、別のブランドのプレートやティーカップと合わせても美しさが引き立ちます。

現代は印刷技術が向上して、あらゆるものが精密な機械で作られます、ですが日常生活でこれほどまでに細かい手作業の絵があるかと聞かれると、周りを見てもまず存在しません。特に金彩を筆で描く文化は薄れているので、一度は本物のマイセンを手にとって実用で使って愉しんでみてもらいたいものです。

著者 おはし

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